2014-09-05

サンパウロ(ブラジル)

在ブラジルの親戚を頼ってブラジルのサンパウロまで飛行機で約24時間。
途中まだ一度も行ったことのない中東のカタールで乗り継ぎなんだけれども、乗り継ぎの時間が短くて空港内を散歩することもできず、だけど帰りは9時間の乗り継ぎ待ち時間があるからまあその時に嫌になるほど散歩しよう。

さてサンパウロ、初散歩の個人的な印象としては南米のニューヨークか。
大きな道の両脇を威圧的なデザインの大きなビル群がずらっと並ぶ感じの外観とか、中心地のすぐにでも軽犯罪の起きやすそうな雰囲気とか、地下鉄も整備されているし、人種も様の東中西含めて色々歩いている辺りも似ているような。

こちらは東洋人というと珍しく中国系よりも日系移民の方がポピュラーなようだ。
というわけで中華街ならぬ日本人街があるらしい、親戚の職場もその付近、ということで早速行ってみる。
見るからに「おぉ、こんな遠いところに日本が!」
という感じではなく、なんというか初期移民者達の望郷の感じがそのまま残っているからか、かといって昭和の感じ、というのでもなく、かといって中華街とも色の感じとか大分違うし、とりあえず非常にユニークで面白い。
最近は中国系が大分増えて東洋人街と呼ばれたりもするらしい。

親戚の職場のビルの上に日系移民博物館があり、行ってみる。
来た時の様子や当時の生活を再現した模型などもありすごく充実していた。
なんと沿岸地帯だけでなく、かなり内陸のアマゾン川周辺に住み着いたチャレンジングな人もいたようだ。
外を歩いてみると東洋系の見た目の人は半分以下かな?
中華街だと8割は東洋系の見た目だから、多分この辺がまた違いを感じさせるところなんだろう。

日系移民者も今はもう4.5世の世代で、もうこの辺には住んでいなく郊外に住んでいるらしい。
かと言ってそこが新しい日本人街になっているかというとそうでもないようだ、それこそ現地化に成功している証だろう。
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2014-09-06

サンパウロ2(ブラジル)

せっかく来たのだからそろそろ音楽にも接しようとしたら、たまたまベテラン歌手のガル・コスタという人がギター弾き語りをやるっぽいとの親戚からの情報があり、しかし値段もブルーノート東京並に高い。。。
このガル・コスタ、18才くらいの時にアメリカの語学学校時、ブラジル人の友人にCD屋でベスト盤を強引に買わさせられて全然好きではなかったのを思い出す(今そのベストを引っ張りだして聴いてみるが、うーん、やはり体質に合わない?)。。。
でもギターのみの伴奏なら大分違いそうだし、とりあえずこれからの音楽体験の試金石になりそうだし行ってみよう。

時間は20時始まりか、地区は割と危険らしい。。。
まあ地図もあるし、いざとなればタクシーがある、ただいざとなったときには最早タクシーどころではないだろうけど。
駅を降りて人に聞くと「歩きは遠いぞ」と言われるが、まだ日もあるから得意の散歩を兼ねて歩く。
二本道を入ったらいきなり人がいない、電灯だけは明るい、だけに周辺のスプレー落書きが目につく。。。
更に歩くと連れ込み宿数軒が見えてきて、周りを娼婦がたむろしている。
雰囲気悪い、しかし道はあっている、ほんとにこんなとこであの値段取って演奏するほどの施設があるのか?
しかし真っ暗な道の入口の木に「Teatro J. Safra →」という看板が無造作に立てかけられていたからあるんでしょう、この真っ暗で娼婦や柄のワルイお兄さんたちがたむろしている道の奥に。
で奥にいくといきなり車がたくさん路駐していて、一見して目立つ建物が出てきたのでなんとか到着。

広さもブルーノートくらいの距離だ、ファンには応えられないんだろうなあ。
演奏はもちろん文句なく、ギターは他にいて期待した弾き語りではなかったけれども、例のベスト盤のおかげで曲も数曲知っていたのでかなり楽しめた。
帰りは道わかってたから地図を開く必要がなかったので、できるだけ大きな道を歩いてどうにか駅まで到着。

別日、居候させてもらってるお宅の近くの音楽バーにもっと地元の演奏を見に行く。
2階あって、それぞれ別のミュージシャンがやるようだがまだ上しかやってない。
女性歌手の声はボサノバっぽい感じなのだが、バンドはロックっぽい。
やはりビートルズやイーグルスのコピーとかを演奏し始めたのでつまらなくなり下を見に行く。
下は歌/ギター、ベース、ドラムのトリオだがこれがよかった!
曲はMPBというブラジルのポップス、で自分はほとんど知らないからそれがまたよく、あとベースがいい感じで動きまくってて酒場のライブ感たっぷりだったのもよかった、にしても中南米のベース奏者はモロにジャコ・パストリアス(著名アメリカ人ベース奏者)感出してくるよなあ、面白い。
そのジャコ本人は当時まだ注目されていない中南米やカリブ海のベーシスト達からヒントを得ていたらしいから逆輸入ともいえる?まあようするにラテン国の人にはしっくりくるスタイルなんだろう。

その後日、親戚が月一度ブラジル風タンバリンを習っている教室に誘ってくれた。
運が良く、その日はギター奏者とブラジル風マンドリン奏者が付き添うアンサンブル形式のレッスンだったようだ。
ギターも持って行っていたので、レッスン始まる前に彼らとセッションする事になる。
お互い共通の知っている曲がボサノバの曲だということで早速始める、お互い「ふーん、へー、おー」なんて言いながら解釈の違いを楽しみつつも、たまにぶつかり合ったりもしてみて「そーいう風にやるんだー」なんて驚き合ったりする。
そのままレッスン中も同席したのだけど、レッスンで演奏する曲はショリーニョという古典的なスタイルの曲ばかりだったのでまったく弾いたことがなく、まああまり邪魔にならないようにチョロチョロ弾いて参加させていただいた。
とにかく知らない曲を20曲くらいを次々に演奏していくものだから毎度曲名をギターの人に聞いたりしてたら「そんなに興味があるのか!?」となんと後日ご丁寧に譜面をスキャンして送ってくれた、自分の編曲したものなんかも送ってくれたのでいずれ弾かないと。

2014-09-12

リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)

サンパウロから沿岸都市リオ・デ・ジャネイロまではバスで6-7時間、ブラジルの地図で見ると近い感じだけど結構遠い。。。
宿は親戚宅で手伝ってもらい「ラパ」という夜型繁華街に近い丘のサンタ・テレザという地区に予約する。
有名なイパネマやコパカバーナからは少し離れているけど、町自体はかなりコンパクトにまとまっているみたいだからどうにかなるでしょう。

さて、数ある観光スポットのどこから行くか?
実はもう何年も前からリオに行く機会があったらまずは「ヴィラ・ロボス博物館」と決めていたので、地図で確認すると、なにやら電車の最寄り駅がいきなり遠い。。。
ヴィラ・ロボスは近代クラシック音楽では指折りの著名作曲家で、作曲家には珍しくギターの達人でもあった人。
作曲のインスピレーションを求めて、遠くアマゾンまでヒョイと行ってしまうようなフットワークの軽い人だったらしい。

といわけでいつものごとく散歩を兼ねて丘の上から荒い石畳道をつまずきながら下り、なんとか駅に。
「こりゃ夜は歩いて登っていくには少し危ないな。。。」と思いながら博物館最寄りの駅へ到着。
人に聞きつつ、地図を見ながら小さな小道を入っていくとありました、一見わからないくらい地味な博物館が。
使ってたギターや楽譜、ペンなどを見ると10分くらいで見終わってしまった。
すると警備員が思い出したように、訪問者向けの英語字幕付きのドキュメンタリーDVDを流してくれてどうにかプラス15分。
しかし長年の思いにもっと浸りたいがために、重箱の隅をつつくように再度展示品を見てどうにか満足する。
出がてらに入口でイベントのカレンダーらしきものをもらう、どうやらクラシック音楽のフリーイベント月間のようだ。

そこから1時間半ほど歩いて名曲「イパネマの娘」のイパネマ海岸へ行く、近づくにつれてボサノバの巨匠たちの名前を冠した公園や道が出てきて徐々に感慨深くなる(「イパネマの娘」は自分が17才の時に初めて弾いたボサノバ曲がゆえに)。
観光シーズンからずれているので人が少なく、良くも悪くもさびれた感は否めない。
海岸へでると、これはすごい、海にでかい岩群が突っ立ってて、そしてその間をロープウェイらしきものが繋いでいる。。。
山の上のキリスト像なんかもそうだけど、なんか町自体が遊園地みたいなとこだ(犯罪率さえ低ければ)。

海岸では海に入るよりビーチサッカーやっている人が多く、今更ながら文化の違いを感じる。
遠くから打楽器群の音が聞こえてくる、一定のパターンとテンポなんで雰囲気作りのCDかなと思う。
せっかくきたから1時間ほどブラブラしててもその間、途切れずにずっと聞こえてくるから「変な音源だなあ」と思いそっちの方に歩いていくと、なんと人が円になって演奏していた。
ローカルな音楽への接し方を垣間見れて、博物館での欲求不満が少し解消されたような。

2014-09-17

リオ・デ・ジャネイロ2(ブラジル)

ヴィラ・ロボス博物館でもらった小冊子を見てみると「Musica no Museu(博物館で音楽を)」という企画をやっていて、この一か月間は独奏からオーケストラまで毎日のようにクラシック音楽を無料、又は安価で見られるようだ。
南米はヨーロッパ移民が多いのでクラシック音楽が盛んで、審査員を受け持つクラシックギターのコンクールでも最近は南米勢が強い、と昔習ってた先生が言ってたのを思い出す。

というわけで、昼は無料コンサートを見て、夜はブラジルの音楽を聴きに行って過ごそうと思う。
色々な旅行記にも書いてあることだけど、正直毎日のように観光地ばかりを巡り続けると飽きてくる、というか驚きがなくなってきて義務のようになってくるので、こういう企画をやってくれたりしているとすごく助かる。
さて、問題は夜の方。
面白そうな演奏やお店は大体観光地域から少し離れていたり、あまり治安が良くない地区で行われていたりするので、下調べもなしに短期間で安全かつ質のいいのを見つけるのはなかなか難しい。
加えて開始時間も9時以降が多く、自分の宿泊先の最寄り駅からのバスが9時半という事を考えるとあまり外したくない。最寄り駅から丘を上がっていく30分間は人通りが少なく、カーブの多い一本道で安全とは言い難いので。

リオの有名な繁華街のひとつにラパ地区というところがあり、宿泊先サンタ・テレザ地区からも10分くらいで近いのだけども途中にやたらと長い階段を2本通らねばならず、階段途中でグループで酒盛りしてたりするので昼はともかく夜は少し躊躇する。。。
なのでラパは後回しにしてまずは観光区域のイパネマ、コパカバーナ付近にあるお店に行ってみる。
シーズンを外れているからか、あまり面白くなさそうな音が店内から聞こえてくる。。。
数軒店先からチェックした中、客席に数本ちゃんとケースに入ったギターらしきものが置いてある小さな店を発見。
店先で怖そうなオーナーみたいなのがいかにもミュージシャンらしい老人と話している、彼ら以外に客はなし。

30分くらい散歩して時間を潰した後、再度訪れると数人のミュージシャンがテーブルを囲んで演奏している。
客相手の演奏ではなさそうだ、楽器を弾いていない客は数少ない店外席やベンチに座って話したり聴いたりしている。
少し敷居が高めの店なのか構わないスタイルなのか、オーダーを取りに来ないので自分から店奥に行き頼むとなんと缶ビールやグラスワインしかなく、やはり音楽をメインにしている店だということが伺われる。
演奏者達はサンパウロで体験したショリーニョという音楽を演奏していてよっぽど演奏が難しいようで、笑顔を作ったり和気あいあいな雰囲気はなく「次の曲なにやる?」くらいの会話しかないようで、淡々と演奏しているのが印象的だった。
ニューヨークのハーレムで体験したジャズのジャムセッションに雰囲気が似ているといえば似ている。
とりあえず地元らしい面白いものが聴けた(見れた?)ので、かなり満足してブラジルでは初一人タクシーで帰宅する。
ぼられないように警戒しながら細かく道案内していたら、運転手に「まあ、落ち着け、落ち着け」となだめられてしまった。

2014-09-23

リオ・デ・ジャネイロ3(ブラジル)

コルコバードの丘のキリスト像を始めとする多数点在するリオの有名無名の観光名所もあらかた訪れ、いよいよ深夜の繁華街に出始める段階になり心強い助っ人が登場してくれた。
宿泊先の上に住んでいるブラジル人なんだけどオランダとアメリカにいたことがあり、あまり音楽を聴きには出歩かないから、これを機に聴きに行きたいようで早速近くのラパ地区に行く。

週末とはいえ、行くまでの道は相変わらず閑散としていて、聞くと地元の人だからとはいえ油断は大敵らしい。
現に別の日に一緒に出掛けた時に帰りが深夜になり、その人がいつもタクシーを降りる場所で降りようとしたら、運転手が
「あの広場でたむろしてる連中はちょっと怪しいな、メーター切るからもうちょい先まで乗れ」
と地元民らしからぬ警戒と配慮を見せたことでも伺える。
宿泊地区のサンタ・テレザは急な坂ばかりで道もガタガタなので、運転手は途中嫌味ばっかり言って友人と言い争いまでしてたのに、その時だけ急に心配してきたのが印象的だった。

さてラパ、ここはサンバを聞かせるバーが多いようで、どこからもその手の音楽が聞こえてくるが
「サンバはうるさくて話せないから、まずはよく行くロックのライブバーにしよう」
と言うので、ロックのがうるさいんじゃない?と思いながら行ってみると、確かにクリームやローリング・ストーンズ等の60年代ロックを適度な音量で演奏していて非常に良い。
そのあとにサンバの店に行ったら確かにすごい音量で話せない、サンバってこんなにうるさい音楽だっけ。。。?
打楽器が5人いて、弦楽器2人。そして歌手2人も小さな打楽器を演奏しながら負けないように大声で歌うので、かなりの音量になるのは分かるが打楽器にマイクはいらないのでは。。。?
とにかくそんな感じで数軒違ったバーをハシゴして楽しんだ。

しかしリオはボサノバ発祥の地なのに未だボサノバを聴けず、観光客が少ないとこんなものなのか?
そうらしい。。。観光客以外には古すぎていわゆる「ダサい」という感じみたい、友人もやはり聴きに行きたがらず。。。
個人的には大好きなジャンルなので本場で見れなかったのは少し残念だけど、これも現地ならでは?

クラシックに関してはギター以外は詳しくないのだけど、クラシックギターに関しては相当のレベルの高さを感じた。
著名ギターデュオのアサド兄弟、地元のソロコンサート、ジャズとクラシックのフュージョン奏者など色々聴いたけれど、一様にオリジナリティーの高みを求める貪欲な姿勢、そしてそれを支える音楽性と技術を持ち合わせていた。